認定臨床微生物検査技師制度: 設立当初の目的 (初版2000年4月1日)
はじめに
認定臨床微生物検査技師制度は、臨床微生物学と感染症検査法の進歩に呼応して、これらに関連する臨床検査の健全な発展普及を促し、有能な「認定臨床微生物検査技師」の養成を図り、より良質な医療を国民に提供することを目的としています。
前述の目的を達成するため、平成12年(2000年)4月1日には認定臨床微生物検査技師制度協議会(以下、協議会と略す)が正式に発足し、本制度の維持と運営のために、協議会の下に認定臨床微生物検査技師制度審議会(以下、審議会と略す)を設置し、認定臨床微生物検査技師制度に係わる諸問題に取り組んでまいりました。
そして、この審議会内に置かれた「認定臨床微生物検査技師制度あり方委員会」からは、「この新しい制度により養成されるべき、望ましい臨床検査技師像」が提案されました。以下に、その内容を示します。
- 臨床微生物検査の分野に偏らず、臨床検査(一般的な緊急検査項目を含む)全般にわたる基本的な知識と技術を有する。
- 生涯研修を通じて、臨床微生物学と感染症検査法の最新の知識と技術を恒常的に修得することにより、さらに高度の思考力・判断力・創造力を養うことができる。
- 感染症のチーム医療において、医師、看護師、薬剤師、その他のスタッフと協調できるより望ましい態度・習慣を身につけている。
- 後輩の臨床検査技師を、臨床微生物学と感染症検査法の分野におけるより高度な専門職として教育・指導ができる。
- これらの生涯研修の結果を、適切に自己評価をし、かつ第3者の評価を受入れ、確実にフィードバックできる。
そして、設立当時において最新の教育手段であった一般教育目標(General Instructional Objectives:GIO)と具体的行動目標(Specific Behavioral Objectives:SBO)からなるカリキュラムを基幹とし、養成してきました。
一般教育目標
- その時点において実用化されている臨床微生物検査法(感染症検査法)に関して最新の知識と技術を有する。
- 個々の臨床微生物検査の成績(報告書の内容)に関して、その臨床的意義と限界を適切に理解する。
- 臨床検査技師の立場から必要に応じて、医師および他の医療従事者に臨床微生物学と感染症検査法に関して適切なコメント・情報の提供ができる。
- 臨床微生物学の分野を中心に、臨床検査技師をめざす者に対する卒前教育および臨床検査技師の生涯研修に寄与できる。
- 臨床微生物学の分野での研究能力を育成し、将来的に後輩技師や他の医療従事者に対しても研究指導ができる。
- 臨床微生物検査に関連した部署の適切な管理・運営の基本を身につける。
- 各種の臨床微生物検査精度保障(事業)の企画・実行ができる。